徒手療法はどれを学べばいい?マニュアルセラピーの様々な概念をまとめました。


理学療法士を目指している学生、もしくはすでに理学療法士になっている方でしたら一度は徒手療法(マニュアルセラピー)に興味を持ったことがあるのではないでしょうか?



徒手療法でビシッと患者さんに即治効果を提供し、結果を残し続ける・・・



憧れますよね。



私は経験年数が浅い頃に徒手療法やテクニックにはどんなものがあるのかを調べ倒した頃がありました。




セラピストにとって間違い無く徒手療法は武器になるものです。




じゃあ徒手療法とは一体なんなのか?




徒手療法にはどんなものがあるのか?




今回は国内で受講可能な徒手療法の団体を思いつく限り書いて行きたいと思います。






徒手療法の分類および学派(概念)

徒手療法を簡単に分けると、



関節に対してのテクニック



筋肉など軟部組織に対してのテクニック



その他(リンパドレナージュ、頭蓋仙骨療法、内臓へのアプローチなど)



に分けられると思います。



そして徒手療法には様々な学派があり、



関節に特化した学派・アプローチ



筋肉に特化した学派・アプローチ



関節と軟部組織全体を網羅した学派



様々なものを取り込んだ学派



などに分けられます。



関節に特化した学派・アプローチ

AKA博田法

AKA関節運動学的アプローチ―博田法第2版
博田 節夫
医歯薬出版 (2007-10-01)
売り上げランキング: 51,146

医師である博田節夫先生が提唱した学派であり、腰痛の原因が関節の遊び(joint play)の少なさから起こる関節包内運動の制限にあると考えられたものです。



そして特に仙腸関節の問題が生じると、全身に影響が及ぼされると説明されています。(関連痛が生じる)



つまり、治療の第一選択は仙腸関節に対して行われることになり、その方法はjoint playの改善を行います。



学ぶ方法としてはAKA医学会の理学・作業療法士会で各研修を受けて学ぶことになり、年に一度基礎研修会も行われています。



認定資格もありますが、非常に難易度は高く設定されているそうです。


・関節ファシリテーション(SJF



SJF 関節ファシリテーション 第2版

丸善出版
売り上げランキング: 207,864

理学療法士の宇都宮初夫先生が提唱されている学派で、関節包内の動きを生体摩擦力学(バイオドライボロジー)を考慮して行うものです。



技術として特徴的なのは、後述する海外の学派が関節モビライゼーションを実施する際は牽引や滑りを利用するのに対し、SJFでは接近(close)を用いて関節内の摩擦係数を軽減させて動かしていくというところにあります。



そしてSJFでも関連症候領域というものがあり、最も全身に影響を及ぼすのは腰仙関節L5-S1にあるとお話されています。



その他にも筋機能改善のための技術など、様々なテクニックがあり難易度は非常に高度です。



学ぶ方法としては関節ファシリテーション学会が主催している研修会に参加します。



認定資格は設けられていませんが、基礎コース・応用コースというふうな感じで全体を一通り網羅した研修があります。



筋肉に特化した・アプローチ

・トリガーポイントアプローチ



誰でもできるトリカ゛ーホ゜イントの探し方・治し方
Clair Davies Amber Davies
エクスナレッジ
売り上げランキング: 74,217

あまり詳しくはないですが、筋が硬結している部位を解きほぐしている技術です。


首都大東京の竹井先生などは筋膜マニピュレーションなどで筋のストレスがかかる部位のことを協調中心とよび、同様のことをおっしゃっていたように思います。



理学療法士でトリガーポイントで有名な方といえば波田野先生が有名で、各部位のトリガーポイントのセミナーやそれをアナトミートレインに応用するセミナーなどを開催されています。
↓波田野先生のブログ
Oriental Physio Academy代表 波田野



・マイオチューニング

マイオチューニングアプローチ入門 痛みと麻痺に対する治療的手技
高田治実
協同医書出版社
売り上げランキング: 326,153

その名の通り筋肉(Myo)を調整(Tuning)する技術で、筋緊張を緩和して疼痛やしびれ、麻痺に効果があるそうです。



この技術は、あまり関西の方では講習会などを開催されておらずどのようなものかは少しわかりませんが日本独自に発展した筋肉に特化したアプローチとしてすごく価値があると思います。


講習会はマイオチューニング学会で学ぶことができます。


MT-MPS

理学療法士で鍼灸師の小林紘二先生が開発された技術で、大阪の方でじわじわと発展している技術です。


柔道整復師の方々が多く学ばれておられますが、大阪回生病院の技師長である森先生の名前もあり、理学療法にも導入は可能だと思います。
(森先生はボバース概念に精通されており、徒手の認定理学療法士でもあります。)



講義はMT-MPS研究会で受講可能です。



関節と軟部組織全体を網羅した学派・団体

・整形外科リハビリテーション学会

関節機能解剖学に基づく  整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹

メジカルビュー社
売り上げランキング: 44,571
関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション

メジカルビュー社
売り上げランキング: 69,618

日本の理学療法士なら多分一度はこの団体の講義や著書に触れたことがあるのではないでしょうか?



触診の講義や超音波エコーの画像を基にした評価および技術を指導してくれます。



臨床での事実や、エコーなどで実際に研究をしていた結果に基づいたところから理論を展開してくれるので非常に分かりやすいです。


講義は
整形外科リハビリテーション学会で受講可能ですが、林先生、浅野先生、鵜飼先生、赤羽根先生、山本先生、小野先生など思いつくだけでも皆さま非常に著名な方ですので様々なところで講義は行われています。





グレード認定資格があるようで、AAABは試験もあるようです。


・ノルディックコンセプト(カルテンボーン-エビエンスコンセプト)

整形徒手理学療法Kaltenborn-Evjenth Concept

医歯薬出版 (2011-12-01)
売り上げランキング: 266,240

現状では日本理学療法士協会から徒手療法のスタンダードとして認められているコンセプトです。



日本運動器徒手理学療法学会で認定のコースを受講することができます。



コースの内容は基礎コースが計50日間(9回に分けて実施)、その後の上級コースは全14日間(4回に分けて実施)されます。その後20日間の臨床実習が行われ、最後に2日間に分けて筆記および実技試験が行われます。



今回紹介するものの中では最も時間を要し、お金もかかるものになっています。



ですが、これだけ時間をかければ成長することは間違いないと思われます。



IFOMPT認定資格のOMPT(Orthopedic Manual Therapist)をお持ちの方の中には筋膜リリースで有名な竹井仁先生や埼玉県立大の藤縄先生などもいらっしゃいます。



・パリスコンセプト

パリス・アプローチ 実践編―徒手理学療法の試み
佐藤 友紀
文光堂
売り上げランキング: 593,329

ノルディックコンセプトに並ぶ世界的にも有名な徒手療法で、日本徒手療法学会の講習会でコースを受講することができます。



S1S4までの脊柱・骨盤帯のコース、E1-2の四肢のコース、MF1の筋筋膜のコースで構成されています。



全コース終了後、希望者は本国アメリカで6日間にわたる認定試験を受けることがかのうです。



現在、日本人では3名?の方がこの認定資格MTC(Manual Therapy Certified)をお持ちのようです。




・ドイツ徒手医学

整形外科における理学療法
メヒトヒルト・デルケン
ガイアブックス
売り上げランキング: 449,093

ドイツ筋骨格医学会日本アカデミーDGMSM-JAPAN)主催のコースを受講することで学習が可能なコンセプトです。



WHOから唯一「医学」として認められているコンセプトで、理学療法大国ドイツでは非常にメジャーなコンセプトです。



コースはベーシックコース、LBBコース(下肢・腰部・骨盤帯コース:5回)、HSAコース(上肢・肩甲帯・頚椎コース:5回)で構成されています。



全コース終了後は認定試験を受けることが可能となり、試験対策コースも実施されております。



LBBHSAのコースの最後には実際の症例を想定した講義および実技も行われ、実践的な印象です。



認定試験は筆記、実技ともありますが実技試験は結構シビアと聞いています。



その他

ひと昔前にIRAという名前で、非常に流行?になった団体です。



内容は内臓治療法や頭蓋仙骨などのオステオパシーのようなものから、女性特有の疾患に対してのもの、脳卒中や腰痛に対してのコースなど様々。



個人的にはどうも胡散臭い感じがして好きではありませんが、今では有名なリハの団体のトップの方などもここの団体出身だったりするようです。



一概に批判はできませんがセミナー代も中々高額です。


過去にはセミナー講師がマルチ商法を行なっていた過去などもあります。


この団体の理念に賛同できる方は受講してみてください。
(そして私に感想を教えてください。笑)
ちなみに私の先輩でB-classは全て受講された人がおり、中々患者さんからの評判も良かったです。その先輩自身が優秀な方だったので、この技術が良かったとは言えませんが参考までに。




禁じられた治療法~手術と投薬を好む整形外科医によって隠ぺいされた疼痛治療の真実とは?~
藤井 翔悟
ギャラクシーブックス (2017-05-22)
売り上げランキング: 1,561

理学療法士の藤井翔悟という人が立ち上げている団体で、疼痛治療に特化した団体です。
調べようとして、ヤフーで検索すると「胡散臭い」や「悪徳」などのキーワードが並んでいます。



実は私も数年前にまだ京都リハビリテーション研究会と団体名が変わる前に講義を受けたことがあります。



疼痛誘発動作や、筋を短縮位にしてストレスを与えずにリリースするテクニック、そしてそれに筋膜を絡めて遠隔治療を行うといった感じで特に技術に関しては難しくもなく、比較的臨床でも用いられやすい感じでした。



ですが、疼痛誘発動作はマニュアルセラピーなら必ず行いますし、筋を短縮にするのもカウンターストレインやマッスルペインリリーフなど昔から提唱されている理論であり、二番煎じは否めません。



またやたらと開業の話をし続けて肝心のセミナーがなかなか進まないとかもありました。



今では受講費も高くなっているようで、もし受けられていて良かったです!という方がいればご一報ください。


・オランダ徒手療法

オランダで理学療法士の上位資格である徒手療法士を取得した土屋先生という方が主催されている団体のようです。



あまり情報はありませんが、ノルディックコンセプトよりも高額?な感じがしますがそこらへんの胡散臭い団体よりもトレーナー経歴や講義内容の充実感などではかなりのものを指導して頂けそうです。



ですが、なんしか高額。



お金に余裕がある人は是非とも。





ひとまず、私が思いつく限りの団体は書いて行きました。

私自身もたくさんの講義を受けてきており、この中ではドイツ徒手と関節ファシリテーションは現在も勉強中です。



そのほかにもボバースも勉強しており、PNFは来年受講したいなと考えています。



僕自身は手技や技術にこだわりは無く、むしろ患者さんや選手がしっかり自分でストレッチやトレーニングをして体をケアした方が良いと考えています。



ですが、徒手的なものはそれができない、わからないという方を対象にした時に一つの手段を与えてくれます。



昨今はエビデンスと叫ばれていますが、脳卒中の吉尾先生はかつてボバースバリバリのセラピストでしたし、整形外科リハ学会の教科書の参考文献には関節ファシリテーションの理論の一部が載っています。



スポーツ関連で著名なセラピストの方々もAKA-Hに触れている人がたくさんいます。



つまり様々な経験や知識、技術から昨今の理学療法は展開されてきたはずです。



整形外科リハ学会の林先生は



「理学療法とはScience(科学)とArt(芸術)である」



と言われています。



エビデンスと技術はどちらもおろそかにできません。



徒手的なアプローチは理学療法士であれば必要な場面が必ずあります。



その時の引き出しは多い方が必ずいいと思います。



次回は私が思う徒手的な介入についての考え方を書いてみます。

クリックすると、ランキング投票になります。
よろしくお願いします!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
にほんブログ村

こちらももしよろしければ・・・


理学療法 ブログランキングへ

1 件のコメント :

  1. 日本徒手療法学会のHPリンクが日本徒手的理学療法学会のHPリンクになっていました。
    こちらが正しいリンクにかと思います!
    https://jsmt.jimdofree.com/

    返信削除



LINE@やってます!
ブログの更新情報・セミナー情報など配信します!
友だち追加