脳卒中におけるプッシャー(Pusher)症候群についてのエビデンスと治療

脳卒中の臨床を経験していると必ず遭遇するといってもいいPusher症候群。


非麻痺側の上肢や下肢で床や座面を押してしまい、結果的に麻痺側に体が倒れてしまい座位保持や立位保持が困難になってしまう現象をいいます。


きっと明確に、何が原因でこの現象が起こっているのか理解が難しい人も多いのではないでしょうか?


私自身もその一人で、非常に難儀する現象です。


ここではその現象を明確にするとともに、これまでの研究で明らかになってきたエビデンスについても書いていきます。






Pusher症候群とは?


特徴:体の傾きに対して、「抵抗」する特性を持つ


側方突進Lateropulsion【体幹の側方傾斜】は運動麻痺・体幹筋緊張の不均衡によって起こる場合と偏倚した主観的垂直に準拠して体幹を立て直そうとした場合に生じる


・脳損傷と同側への傾斜(脳幹の尾側損傷)



・反対側傾斜(脳幹吻側損傷・大脳半球障害)



Pusher症候群の評価ツール


①Scale for Contraversive pushing(SCP)

Scale for Contraversive pushing(SCP)


②Pusher重症度分類
Pusher重症度分類



Bruke Lateropulsion Scale側方突進スケール
Bruke Lateropulsion Scale 側方突進スケール
Bruke Lateropulsion Scale 側方突進スケール


①がもっとも世界的にメジャーな評価スケールのようです。②に関しては日本で用いられることのある評価スケールみたいです。



①、②は簡単に使用ができ、Pusher現象の診断に優れています。




ですが、Pusher現象の微細な変化をとらえにくいといわれています。



③は各姿勢・動作別の側方偏移が評価可能です。



また、側方突進スケールは他の2つの評価とも相関がありPusher症候群の評価として有用といえます。


責任病巣

・Pedersen(1996):内包・側頭葉・視床



・Reding(1997):補足運動野、淡蒼球



・Karnath(2000):視床後外側



・Prennoseili(2001):皮質・皮質下領域



・Saj(2005):線条体


・Johannsen(2006):島後部、上側頭回、下頭頂小葉、中心後回



視床後外側核は、表在・深部感覚の中継点でありこの情報をもとにボディスキーマを作成していきます。




また島後部や、下頭頂小葉はこのボディスキーマと対象物との空間知覚が行われているとされており、両方ともPusher症候群が生じそうな感じが個人的にもします。


Verticalityの種類

・SVV:Subjective Visual Vertical(視覚垂直)



・SPV:Subjective postural Vertical(身体垂直)



・SHV:Subjective Haptic Vertical(徒手的垂直)



・SBV:Subjective Behavioral Vertical(行動垂直)




※Pusher症例はSPVは健側に偏移、だがSVVは正中である。



身体イメージ(スキーマ)?はずれているが、視覚的にはずれていないため鏡をみせることで比較的良好になるみたいです。




つまりPusherは視覚的に頭部を正中にするシステムは残存しており、第2の重力認知期機能(Second Graviceptive system)の障害?が存在する。



重力の認知:体幹における腎臓の位置情報、内臓求心系の迷走神経から入力をうけて視床・島に投射している



視床から頭頂葉へ投射する領域の障害で、SPV、SVV、SHVが損傷側と反対側への傾斜を認められることが多い





Kamathらの治療に関する提言

・直立姿勢の認知的な歪みを改善する




・視覚的に身体と環境との関係を認知させる




・治療者によって視覚的手がかりを付与する




・その手掛かりによって直立姿位を学習する




・ほかの動作中も直立姿位を維持していく




このほかにも腹臥位をとることで安楽姿位の学習が可能となり、Pusher症候群に効果的とのことです。




また、鉛直線を視覚的に明示し30秒間体幹と一致させ続けるようにすることでも体幹の偏移角が減少すると報告されています。





半側空間無視・Pusher症候群に関しての詳しく書かれた文献はこちら。
(この網本先生が、この高次脳機能のパートの担当でした。難しかったですが興味深かったです)






さぁ、次からは理学療法に関するガイドラインについて書いていきます。



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