徒手療法の分類および学派(概念)
関節に特化した学派・アプローチ
・AKA博田法
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医師である博田節夫先生が提唱した学派であり、腰痛の原因が関節の遊び(joint play)の少なさから起こる関節包内運動の制限にあると考えられたものです。
つまり、治療の第一選択は仙腸関節に対して行われることになり、その方法はjoint playの改善を行います。
認定資格もありますが、非常に難易度は高く設定されているそうです。
・関節ファシリテーション(SJF)
理学療法士の宇都宮初夫先生が提唱されている学派で、関節包内の動きを生体摩擦力学(バイオドライボロジー)を考慮して行うものです。
技術として特徴的なのは、後述する海外の学派が関節モビライゼーションを実施する際は牽引や滑りを利用するのに対し、SJFでは接近(close)を用いて関節内の摩擦係数を軽減させて動かしていくというところにあります。
そしてSJFでも関連症候領域というものがあり、最も全身に影響を及ぼすのは腰仙関節L5-S1にあるとお話されています。
その他にも筋機能改善のための技術など、様々なテクニックがあり難易度は非常に高度です。
認定資格は設けられていませんが、基礎コース・応用コースというふうな感じで全体を一通り網羅した研修があります。
筋肉に特化した・アプローチ
・トリガーポイントアプローチ
エクスナレッジ
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首都大東京の竹井先生などは筋膜マニピュレーションなどで筋のストレスがかかる部位のことを協調中心とよび、同様のことをおっしゃっていたように思います。
理学療法士でトリガーポイントで有名な方といえば波田野先生が有名で、各部位のトリガーポイントのセミナーやそれをアナトミートレインに応用するセミナーなどを開催されています。
↓波田野先生のブログ
Oriental Physio Academy代表 波田野
・マイオチューニング
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その名の通り筋肉(Myo)を調整(Tuning)する技術で、筋緊張を緩和して疼痛やしびれ、麻痺に効果があるそうです。
この技術は、あまり関西の方では講習会などを開催されておらずどのようなものかは少しわかりませんが日本独自に発展した筋肉に特化したアプローチとしてすごく価値があると思います。
講習会はマイオチューニング学会で学ぶことができます。
・MT-MPS
理学療法士で鍼灸師の小林紘二先生が開発された技術で、大阪の方でじわじわと発展している技術です。柔道整復師の方々が多く学ばれておられますが、大阪回生病院の技師長である森先生の名前もあり、理学療法にも導入は可能だと思います。
(森先生はボバース概念に精通されており、徒手の認定理学療法士でもあります。)
関節と軟部組織全体を網羅した学派・団体
・整形外科リハビリテーション学会
メジカルビュー社
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メジカルビュー社
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日本の理学療法士なら多分一度はこの団体の講義や著書に触れたことがあるのではないでしょうか?
講義は整形外科リハビリテーション学会で受講可能ですが、林先生、浅野先生、鵜飼先生、赤羽根先生、山本先生、小野先生など思いつくだけでも皆さま非常に著名な方ですので様々なところで講義は行われています。
・ノルディックコンセプト(カルテンボーン-エビエンスコンセプト)
医歯薬出版 (2011-12-01)
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現状では日本理学療法士協会から徒手療法のスタンダードとして認められているコンセプトです。
コースの内容は基礎コースが計50日間(9回に分けて実施)、その後の上級コースは全14日間(4回に分けて実施)されます。その後20日間の臨床実習が行われ、最後に2日間に分けて筆記および実技試験が行われます。
今回紹介するものの中では最も時間を要し、お金もかかるものになっています。
ですが、これだけ時間をかければ成長することは間違いないと思われます。
IFOMPT認定資格のOMPT(Orthopedic Manual Therapist)をお持ちの方の中には筋膜リリースで有名な竹井仁先生や埼玉県立大の藤縄先生などもいらっしゃいます。
・パリスコンセプト
文光堂
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・ドイツ徒手医学
全コース終了後は認定試験を受けることが可能となり、試験対策コースも実施されております。
LBB、HSAのコースの最後には実際の症例を想定した講義および実技も行われ、実践的な印象です。
その他
内容は内臓治療法や頭蓋仙骨などのオステオパシーのようなものから、女性特有の疾患に対してのもの、脳卒中や腰痛に対してのコースなど様々。
個人的にはどうも胡散臭い感じがして好きではありませんが、今では有名なリハの団体のトップの方などもここの団体出身だったりするようです。
一概に批判はできませんがセミナー代も中々高額です。
過去にはセミナー講師がマルチ商法を行なっていた過去などもあります。
この団体の理念に賛同できる方は受講してみてください。
ギャラクシーブックス (2017-05-22)
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理学療法士の藤井翔悟という人が立ち上げている団体で、疼痛治療に特化した団体です。
疼痛誘発動作や、筋を短縮位にしてストレスを与えずにリリースするテクニック、そしてそれに筋膜を絡めて遠隔治療を行うといった感じで特に技術に関しては難しくもなく、比較的臨床でも用いられやすい感じでした。
今では受講費も高くなっているようで、もし受けられていて良かったです!という方がいればご一報ください。
・オランダ徒手療法
オランダで理学療法士の上位資格である徒手療法士を取得した土屋先生という方が主催されている団体のようです。あまり情報はありませんが、ノルディックコンセプトよりも高額?な感じがしますがそこらへんの胡散臭い団体よりもトレーナー経歴や講義内容の充実感などではかなりのものを指導して頂けそうです。
ですが、なんしか高額。
お金に余裕がある人は是非とも。
ひとまず、私が思いつく限りの団体は書いて行きました。
昨今はエビデンスと叫ばれていますが、脳卒中の吉尾先生はかつてボバースバリバリのセラピストでしたし、整形外科リハ学会の教科書の参考文献には関節ファシリテーションの理論の一部が載っています。
スポーツ関連で著名なセラピストの方々もAKA-Hに触れている人がたくさんいます。
つまり様々な経験や知識、技術から昨今の理学療法は展開されてきたはずです。
整形外科リハ学会の林先生は
「理学療法とはScience(科学)とArt(芸術)である」
と言われています。
エビデンスと技術はどちらもおろそかにできません。
徒手的なアプローチは理学療法士であれば必要な場面が必ずあります。
その時の引き出しは多い方が必ずいいと思います。
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日本徒手療法学会のHPリンクが日本徒手的理学療法学会のHPリンクになっていました。
返信削除こちらが正しいリンクにかと思います!
https://jsmt.jimdofree.com/